症例
2025/05/05
基本診療科健康診断で初めて発見された心臓病を持つメインクーン
- 犬種・猫種 メインクーン
- 年齢 15歳
- 症状
- #心臓病
- #健康診断

症状および経過
15歳の頃に保護ネコとして迎え入れた。元気で食欲もあるが、一度も健康診断を受けたことがなかったため、健康診断として、血液検査やレントゲン検査などを実施。
健康診断結果
肥大型心筋症が見つかり、心臓にも負荷がかかっていることが判明し、内服薬を開始。
治療経過
毎日の内服に苦労しながらも元気な状態を維持している。現在は16歳になり、内服にもようやく慣れてきた。
経過について
実はこの話は、私の実体験です。
ある日、色々なご事情から飼えなくなってしまったという飼い主様からご相談を受け、15歳のメインクーンと出会いました。
私自身、幼少期から猫とともに生活をしており、いつかまた一緒に暮らしたいと思っていました。色んなご縁もあり、その子を引き取ることとなり、一緒に生活をするようになりました。
半年ほど経過した頃でしょうか。
「そろそろ家にも慣れてきた頃だな。元気そうにしているけど、見えないところに何か異常があるかもしれないし、一度健康診断をしてみようか」と思い立ちました。
病院に連れていき、血液検査、レントゲン検査をしてみたところ、
…ビックリしました。
心臓が大きくなっていることが分かり、急遽、心臓超音波検査を行いました。
結果的には「肥大型心筋症」が見つかりました。
「肥大型心筋症」とは、
心筋の肥大(分厚くなる)により、血液が全身や肺に回りづらい状態(うっ血)を起こす心臓病です。猫において最も一般的に認められる心臓病の一つであり、何かのきっかけで偶然発見され、生涯に渡って症状を起こさない場合と、突然呼吸状態が悪くなったり、後ろ足が動かなくなったりする場合があります。重症例では肺水腫や胸水などにより呼吸状態が悪くなるケースが見られます。また、血液が流れにくくなることで血栓症を発症し、足が動かなくなったり、臓器への血流が悪くなることで、臓器の機能不全を起こすこともあります。
その日から抗血栓薬や利尿剤、心拍数を抑える薬などを始めました。
最初は投薬に苦労しましたが、お互い投薬に慣れていき、毎日の投薬をしながら生活をしています。また、定期検診も続けています。

今回の件でより一層、健康診断の重要性を感じました。
健康に見えても、特にネコちゃんは心臓病が隠れているケースがあります。猫ちゃんの心臓病は聴診でもわからないケースが70%程度は存在しますので、しっかりと画像検査を行うことがすごく重要です。
また、ワンちゃんもお腹の臓器など、見えないところに異常が見つかるケースも少なくありません。
一度、健康診断を受けてみるのはいかがでしょうか?
ご家族の健康について、少しでもご不安や疑問がありましたらいつでもご相談ください!
この記事を書いた執筆者
動物病院西谷院長 野呂嵩大
略歴
日本大学生物資源科学部獣医学科卒業後、日本動物高度医療センターの泌尿器・消化器科に勤務。その後、横浜・横須賀の動物病院での経験を経て、サーカス動物病院皮膚科研修医として研鑽を積む。2023年に日本獣医泌尿器学会泌尿器認定医を取得し、現在はサーカス動物病院 総合診療科・皮膚専門診療および日本動物高度医療センター 泌尿器・消化器科にて診療を行う。2025年3月から動物病院西谷の院長に就任。
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