症例
2025/07/19
皮膚科皮膚の膿皮症を認めたトイ・プードル
- 犬種・猫種 トイ・プードル
- 年齢 5歳
- 症状
- #毛が抜けている
- #痒い
- #皮膚が赤い
- #脱毛

症状および経過
数日前から皮膚のかゆみが続いているとのことで当院を受診。
身体検査では首、腹部に脱毛や赤みが認められた。一般皮膚検査(皮膚細胞診検査)にて球菌、好中球の増殖が見られた。その他の皮膚検査では寄生虫や、その他の感染症は認められなかった。
診断
表在性膿皮症
治療経過
膿皮症部分に対して外用薬を塗布。徐々に皮膚の赤みや痒みは減少。2週間ほどの経過で症状は完全に消失した。
病気について
「膿皮症」とは、
皮膚の感染症の一つであり、主に黄色ブドウ球菌が原因となることが多いです。
皮膚科疾患では、まずは徹底した身体検査や問診が必要不可欠であり、とても重要です。もし、今までの検査結果や治療歴などを書かれたノートなどがありましたら、ぜひご持参ください。
診断には一般的な皮膚科検査を行い、確定診断をつけることがとても重要です。
検査では、
・皮表細胞診
皮膚表面にどんな細胞がいるのかを調べる検査
・毛検査
毛包内の寄生虫を調べる検査
・掻把検査
フケなどが出ている場合、フケを顕微鏡で観察する検査
上記の検査を組み合わせ、確定診断を行います。

治療において、2024年に国際的なガイドラインが改訂され、
外用薬での治療を優先することが強く推奨されています。
外用薬での治療を優先し、それでも治療が上手くいかない場合に、細菌培養検査を行いながら、全身療法(抗菌薬の飲み薬)を行うかどうかを検討します。
膿皮症の発生には、「皮膚のバリア機能低下」が関与することが知られています。また、背景にアトピー性皮膚炎などの基礎疾患が関与することも多いです。
膿皮症の治療のみではなく、背景となっている病気の治療を行うことで、全身的なケアをすることが重要となります。
皮膚疾患は、問診、検査、診断がとても重要です。
長く付き合っていくことが必要な病気も多いので、しっかりと納得した形で治療を行うことが良いと考えています。
皆さまにとって、最良の選択が出せるようお手伝いさせて頂きます。
皮膚病について、何かお悩みがありましたら、当院までお気軽にご相談ください。
この記事を書いた執筆者
動物病院西谷院長 野呂嵩大
略歴
日本大学生物資源科学部獣医学科卒業後、日本動物高度医療センターの泌尿器・消化器科に勤務。その後、横浜・横須賀の動物病院での経験を経て、サーカス動物病院皮膚科研修医として研鑽を積む。2023年に日本獣医泌尿器学会泌尿器認定医を取得し、現在はサーカス動物病院 総合診療科・皮膚専門診療および日本動物高度医療センター 泌尿器・消化器科にて診療を行う。2025年3月から動物病院西谷の院長に就任。
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