お知らせ
2025/05/27
その他腎・泌尿器疾患への取り組み
皆さんのご家族でこんなトラブルはございませんか?
- ●何回もトイレに行く
- ●トイレ以外で尿をしてしまう
- ●排尿をする時にいきむ、痛みがある
- ●オシッコの色が赤い/薄い
- ●飲水量が増えて、オシッコの色も薄い
- ●トイレに行っても尿が出ない
このようなトラブルは腎臓や尿管、膀胱、尿道などの、いわゆる腎泌尿器での異常が原因である可能性があります。
腎泌尿器疾患は排尿のトラブルだけではなく、発熱や食欲低下などの症状が見られることもあります。
また、さまざまな原因により急性腎障害が生じると、命を落とす可能性もある重大な疾患です。
一方、初期段階では見た目の症状は軽度、あるいはほぼ起こらず、気付かないうちに病気が進行してしまうケースも少なくありません。
すべての病気に言えることですが、早期発見・早期治療が重要となります。
検査について
腎泌尿器疾患の場合、各種検査を総合的に判断することが重要となります。
尿検査
尿検査は腎機能の評価や細菌感染、結晶成分を見るために行います。
採尿方法には
①自然採尿(自宅の尿を持参いただく)
②カテーテル採尿(管を入れて採尿)
③穿刺採尿(細い針を用いて採尿)
の3つの方法があります。
最も簡単な方法は①で、ご家族を病院に連れてこなくても検査が出来ます。
ただ、検査を行うまでの経過時間により検査結果が変化することや、細菌感染については評価が難しいなどデメリットもあります。
評価として最も優れているのは③です。
針を刺す、というのは怖い響きですが、細い針ですので、大きな問題につながるケースは少ない一方、尿検査の評価としては最も信頼性のある方法です。
血液検査
腎機能、脱水状態、貧血などを評価するために血液検査を行います。
血液検査は検査の中で、特に客観的なデータを得られる方法の一つで、とても重要な検査です。
画像検査
画像検査には①レントゲン検査、②超音波検査があります。
①レントゲン検査
胸部や腹部のレントゲン検査を行うことで、脱水状態や病気の原因を探ります。
特に、腹部のレントゲン検査では、尿管結石や膀胱結石がないかどうか、腎臓の大きさ、尿の溜まり具合などを見ていきます。
結石については、種類により画像の写り方も変わりますので、細かく画像を評価します。
②腹部超音波検査
腎臓~尿管~膀胱~尿道(±前立腺、子宮、膣など)の内部構造を観察し、病気の原因を探ります。
レントゲン検査でわからないような構造の異常を調べます。


血圧測定
腎臓には血圧を調整する役割があります。
高血圧は腎臓の機能を障害する一つの要因となりますので、治療対象かどうかを調べます。

治療について
上記検査を行い、必要と思われるところを治療していきます。
「腎臓の数値が悪い」
同じ言葉でも病気の種類によって治療法は大きく異なります。
膀胱結石であれば、食餌療法や内服、外科治療
尿管結石であれば緊急的な外科治療
腎臓病であれば、食餌療法や点滴、内服 など…
特に「慢性腎臓病」という病気は高齢のネコちゃん/ワンちゃんに多い病気です。
IRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)により重症度分類(ステージ分類)や大まかな治療法が明言化されていますが、実際にどの治療法を必要とするかどうか、その子毎に変わりますので、1人1人に合わせた治療法がとても重要です。
動物病院西谷では…
動物病院西谷では、「1人1人に合わせた治療法」を大事にしています。
あえて「1人」と表現をしたのは、実際に治療を行うのは病院だけではなく、飼い主様ご自身でもあるからです。
治療方針を考える際、その子にとって必要な治療を考えることと同時に、飼い主様がご自宅で出来ることを考えていきます。
ご家族と飼い主様にとって、「最良」な治療法を一緒に考えていきましょう。
当院の院長は高度医療センター 腎泌尿器科での診療経験を持ち、日本獣医泌尿器学会泌尿器認定医の資格を有しています。
セカンドオピニオンについても対応可能ですので、お困りの際には、お気軽にご相談ください。
腎・泌尿器の症例については、「症例ページ」に掲載しておりますので、ご参考ください。
この記事を書いた執筆者
動物病院西谷院長 野呂嵩大
略歴
日本大学生物資源科学部獣医学科卒業後、日本動物高度医療センターの泌尿器・消化器科に勤務。その後、横浜・横須賀の動物病院での経験を経て、サーカス動物病院皮膚科研修医として研鑽を積む。2023年に日本獣医泌尿器学会泌尿器認定医を取得し、現在はサーカス動物病院 総合診療科・皮膚専門診療および日本動物高度医療センター 泌尿器・消化器科にて診療を行